二つの奇跡
2010年 09月 04日
小学生の私は町の少年野球チームに入っておりました。
あれは確か江戸川の河川敷グランドまで遠征をした時に起こった...
二つの奇跡のお話を...
各々の自転車で河川敷まで来て練習だったか試合だったか
はたまた練習試合だったかを終え...
また各々の自転車で帰路に付こうとしたその時
少年Aが青ざめながら「コーチ、鍵がありません」と。
まあ、小学生ですからありがちなこと。
やれやれとコーチ達、少年達、母親達が手分けして大捜索。
でも広いグランド、小さな鍵は見つからない。
途方に暮れる皆...そのとき一人のコーチがひらめいた。
「これだけの人数だからだれかの鍵がAのと合うんじゃないか?」
早速、二十数名に鍵を持って来させてかたっぱしからAの自転車に...
でもそうそう他人の鍵が合うわけがない。
残り数人、誰もが諦めかけたその時「カシャーン!」
なんと少年Xの鍵が奇跡を起こした!
そして間もなく二つ目の奇跡が起こる...
「...さて、問題はこの鍵をどうやってXに返すかだ...」と当のコーチ。
(さも最初からこの問題も起こるのは分かっていたかのような口ぶりで...)
いい大人が集まってこのことに気付かずにいた...奇跡...。
もちろん巧いこと鍵をかけずに鍵を取る、なんて芸当が出来るはずも無く...
軽トラックに積まれる少年Aと自転車...そして見送る僕ら...。
この日、少年Kは「自転車の鍵は無くさないこと」
「大人って案外バカ」という人生で大事な二つのことを学んだ。
うだるような暑さの中自転車を漕ぎながらフと思い出した
少年の日の夏...